Rabbit or Duck?

Chronicles of My Ambiguous Life

読書メモ10

 

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

 

 

はじめに 優れた知的生産に共通すること

30: つまり、知的な生産活動の目的地となるものがイシューなのだ。

悩まない、悩んでいるヒマがあれば考える

39: 「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに、「考えるフリ」をすること

   「考える」=「答えが出る」という前提のもとに、建設的に考えを組み立てること

47:僕はパーソナルな問題、つまり恋人や家族や友人といった「もはや答えが出る・出ないというよりも、向かい合い続けること自体に価値がある」という類の問題を別にすれば、悩むことには一切意味がないと思っている。 

51:仕事とは何かを生み出すためにあるもので、変化を生まないとわかっている活動に時間を使うのはムダ以外の何ものでもない。

58:ビジネス・研究ですべきは「考える」ことであり、あくまで「答えが出る」という前提に立っていなければならない。


序章 この本の考え方―脱「犬の道」

バリューのある仕事とは何か

224:この本で言うところの「生産性」の定義は簡単で、「どれだけのインプット(投下した労力と時間)で、どれだけのアウトプット(成果)を生み出せたかということだ。

234:プロフェッショナルとは、特別に訓練された技能をもつだけでなく、それをベースに顧客から対価をもらいつつ、意味あるアウトプットを提供する人のことだ。

257:「イシュー度」とは「自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」、そして「解の質」とは「そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い」

踏み込んではならない「犬の道」

301:まずはヨコ軸の「イシュー度」を上げ、そののちにタテ軸の「解の質」を上げていく。つまりは「犬の道」とは反対の右回りのアプローチを採ることだ。

309:あくまで「イシュー度」の高い問題からはじめる。

357:ビジネスパーソンというのは、会社に雇われてはいるが、マネジメントや自分の仕事に関わる「ハンドルを握る側の人」というのが本来の意味だ。

表層的な論理思考に陥ってはいないか

386:問題に立ち向かう際には、それぞれの情報について、複合的な意味合いを考え抜く必要がある。それらをしっかりつまむためには、他人の話だけではなく、自ら現場に出向くなりして一時情報をつかむ必要がある。


第1章 イシュードリブン―「解く」前に「見極める」

相談する相手をもつ

445:イシューを見極めるためには「実際にインパクトがあるか「説得力あるかたちで検証できるか」「想定する受け手にそれを伝えられるか」という判断が必要となり、ここにはある程度の経験と「見立てる力」が必要になる。

453:こういうい「知恵袋的な人」をもてるかどうかが、突出した人とそうでない人の顕著な差を生むのだ。

「スタンスをとる」ことが肝要

459:強引にでも前倒しで具体的な仮説を立てることが肝心だ。「やってみないとわからないよね」といったことは決して言わない。ここで踏ん張り切れるかどうかが、あとから大きく影響してくる。

何はともあれ「言葉」にする

483:「これがイシューかな?」「ここが見極めどころかな?」と思ったら、すぐにそれを言葉にして表現することが大切だ。

490:言葉にするときに詰まる部分こそイシューとして詰まっていない部分であり、仮説をもたずに作業を進めようとしている部分なのだ。

言葉で表現するときのポイント

512:

イシューと仮説を言葉で表現するときの注意点を挙げておきたい。

 

▼「主語」と「動詞」を入れる 

▼「WHY」より「WHERE」「WHAT」「HOW」

  •  「WHERE」…「どちらか?」「どこを目指すべきか?」  
  • 「WHAT」……「何を行うべきか?」「何を避けるべきか?」  
  • 「HOW」………「どう行うべきか?」「どう進めるべきか?」 

「WHY=~はなぜか?」という表現には仮説がなく、何について白黒をはっきりさせようとしているのかが明確になっていない。

▼比較表現を入れる

 よいイシューの3条件

536:

▼1 本質的な選択肢である  よいイシューはすべからく、それに答えが出るとそこから先の検討方向性に大きく影響を与えるものだ。 

▼2 深い仮説がある

▼3 答えを出せる 「えっ?」と思われるかもしれないが、よいイシューとは、「きっちりと答えを出せる」ものでなければならない。「重要であっても答えを出せない問題」というのは世の中にいくらでもあるのだ。

 557:

条件① 本質的な選択肢である

 569:

選択肢があり、どちらになるのかによってそこから先の研究に大きな影響が出るものがよいイシューなのだ。

 580:

▼なんちゃってイシュー

一見イシューのように見えても、その局面で答えを出す必要のないもの、答えを出すべきでないものは多い。

 589:

▼イシューは動く標的 

ある人にとってイシューであってもほかの人にとってはイシューではない、ということもいくらでもある。

 598:誰にとって」という主語を変えても成り立つものは、まだイシューとしての見極めが甘い可能性が高い。

600:大きな意思決定がされると、その周りにあるイシューが根こそぎイシューでなくなることもある。

条件② 深い仮説がある

 609:仮説を深める簡単な方法は「一般的に信じられていることを並べて、そのなかで否定できる、あるいは異なる視点で説明できるものがないかを考える」ことだ。「常識の否定」を英語で「直観に反している」という意味で「カウンター・イントゥイーティブ」という

▼「新しい構造」で説明する

648:人が何かを理解する」というのは、「2つ以上の異なる既知の情報に新しいつながりを発見する」ことだと言い換えられる。

条件③ 答えを出せる

687:どのようにアプローチをしようとも既存のやり方・技術では答えを出すことはほぼ不可能という問題は多い。

 718:ありふれた問題に見えても、それを解く方法がいまだにはっきりしない、手をつけないほうがよい問題が大量にある

722:「インパクトのある問い」がそのまま「よいイシュー」になるわけではない。そしてファインマンが言ったとおり、「答えが出せる見込みがほとんどない問題」があることを事実として認識し、そこに時間を割かないことが重要だ。

724:本当に既存の手法、あるいは現在着手し得るアプローチで答えを出せるかどうか」を見極めることだ。「現在ある手法・やり方の工夫で、その問いに求めるレベルの答えを出せるのか」。イシューの候補が見えてきた段階では、そうした視点で再度見直してみることが肝要だ。

考えるための材料を入手する

745:手がかりを得るためにはどうしたらよいのか。それは、取り組んでいるテーマ・対象について「考えるための材料をざっくりと得る」

746:つまり、時間をかけ過ぎずに大枠の情報を集め、対象の実態についての肌感覚をもつ。ここでは細かい数字よりも全体としての流れ・構造に着目する。

750:多くの場合、検証までの1サイクルは1週間から長くても 10 日程度で回すので、この最初の仮説を出すために考える材料を集める作業は可能であれば2、3日程度で終えたいところ 

755:コツ① 一次情報に触れる 

一次情報というのは、誰のフィルターも通っていない情報のことだ。

770:一次情報というのは、誰のフィルターも通っていない情報のことだ。

774:二次的な情報は何らかの多面的かつ複合的な対象のひとつの面を巧妙に引き出したものに過ぎない(図4)。そこからこぼれおちた「現実」は、それを直接見ない人には認知できない。よって、数日間は集中的に一次情報に触れることをお薦めしたい。

785:知らない人に電話でインタビューを申し込むことを英語で「コールドコール」と言うが、これができるようになると生産性は劇的に向上する。

789:生産性を上げようと思ったらフットワークは軽いほうがいい。

コツ② 基本情報をスキャンする

804:

▼数字

「この数字を知らずして議論しても仕方ない」ということを大局的に押さえる。

▼問題意識

問題意識とは、歴史的背景を踏まえた分野・業界・事業の常識、そして課題領域にまつわる一般的な通念、これまでの検討の有無、内容とその結果などだ。

フレームワーク

どんな領域でも、これまで課題がどのように整理されてきたか、課題をとりまくものがどのように位置づけられるか、という情報は必要だ。

コツ③ 集め過ぎない・知り過ぎない

第3のコツは意図的にざっくりとやる、つまり「やり過ぎない」ということだ。

843:人がある領域について関心をもち、新しい情報を最初に得ていくとき、はじめはいろいろな引っかかりがあり、疑念をもつものだ。それを人に尋ねたり解明したりしていくたびに、自分なりの理解が深まり、新しい視点や知恵が湧いてくる。これが消えないレベルで、つまり「知り過ぎたバカ」にならない範囲で情報収集を止めることが、イシュー出しに向けた情報集めの極意のひとつだ。

 イシュー特定の5つのアプローチ

アプローチ③最終形からたどる

895:手っ取り早くイシューの広がりを整理するときには、「最後に何がほしいのか」ということから考えることも有用だ。 


第2章 仮説ドリブン(1)―イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる

イシュー分析とは何か

972:解の質を高め、生産性を大きく向上させる作業が、「ストーリーライン」づくりとそれに基づく「絵コンテ」づくりだ。

イシューを分解する

意味のある分解とは

1015:イシューを分解するときには「ダブりもモレもなく」砕くこと、そして「本質的に意味のある固まりで」砕くことが大切だ。

 ストーリーラインを組み立てる

1188:人に何かを理解してもらおうとすれば、必ずストーリーが必要になる。

1190:どういう順番、どういう流れで人に話をすれば納得してもらえるのか。さらには感動・共感してもらえるのか。 


第3章 仮説ドリブン(2)―ストーリーを絵コンテにする

1330:「これなら取れそうだ」と思われるデータから分析を設計するのは本末転倒であり、これをやってしまうと、ここまでやってきたイシューの見極めもストーリーラインづくりもムダになってしまう。

定量分析の3つの型

1381:

1 比較  

2 構成  

3 変化

原因と結果から軸を考える

1411:軸を考えるというのは、原因側で何を比べるのか、結果側で何を比べるのか、ということを意味している。

意味合いを表現する

1477:分析的な思考における「意味合い」は、「比べた結果、違いがあるかどうか」に尽きる。

1 差がある  

2 変化がある  

3 パターンがある

知覚の特徴から見た分析の本質

2 不連続な差しか認知できない

1556:同じような分析の型が続かないようにすることが重要だ。私たちの脳は異質な差分しか認識しないため、同じかたちのグラフやチャートが続くと、2枚目以降に関しては認知する能力が格段に落ちる。

3 理解するとは情報をつなぐこと

1571:優れた軸は複数の異なる情報をつなぐ力が強いのだ。

4 情報をつなぎ続けることが記憶に変わる

1580:「××と○○は確かに関係している」という情報が実際につながる「理解の経験」を繰り返させなければ、相手の頭には残らない。


第4章 アウトプットドリブン―実際の分析を進める

トラブルをさばく

2つのトラブル

1665:トラブルへの予防策の基本は、重大なことにできる限りヘッジをかけておくことだ。

軽快に答えを出す

いくつもの手法をもつ

1760:もっている手札の数」「自分の技となっている手法の豊かさ」がバリューを生み出す人としての資質に直接的に関わる、ということだ。

1772:回転率とスピードを重視する

1774:大切なことは「停滞しない」ことだ。

1776:停滞を引き起こす要因として、最初に挙げられるのが「丁寧にやり過ぎる」ことだ。

1783:数字をこねくり回さず、手早くまとめることが大切だ。1回ごとの完成度よりも取り組む回数(回転数) を大切にする。

 

第5章 メッセージドリブン―「伝えるもの」をまとめる

「本質的」「シンプル」を実現する

1827:

  1. 意味のある課題を扱っていることを理解してもらう
  2. 最終的なメッセージを理解してもらう
  3. メッセージに納得して、行動に移してもらう

1835:ひとつ、聞き手は完全に無知だと思え  

    ひとつ、聞き手は高度の知性をもつと想定せよ

1839:「賢いが無知」というのが基本とする受け手の想定だ。

チャートを磨き込む

優れたチャートと磨き込むのコツ

1932:優れたチャートが満たすべき条件というのは以下の3つに 収斂 すると考えている。

  1. イシューに沿ったメッセージがある
  2. (サポート部分の) タテとヨコの広がりに意味がある
  3. サポートがメッセージを支えている

コツ①1チャート・1メッセージを徹底する

1978:「1チャート・1メッセージ」

1979:僕が米国での研究時代にお世話になったある教授に言われ、今も大切な教えにしている言葉がある。 「どんな説明もこれ以上できないほど簡単にしろ。それでも人はわからないと言うものだ。そして自分が理解できなければ、それをつくった人間のことをバカだと思うものだ。人は決して自分の頭が悪いなんて思わない」

 

コツ②タテとヨコの比較軸を磨く

 1986:人がチャートを見て、最初に目が行くのはメッセージと全体のパターン、次がそのパターンを読み解くためのタテヨコの軸だ。

▼軸の選択をフェアにする

▼軸の順序に意味をもたせる

▼軸を統合・合成する

▼軸の切り口を見直す

 コツ③メッセージと分析表現を揃える

「コンプリートワーク」をしよう

2071:プロフェッショナルの世界では「努力」は一切評価されない。確かに手の込んだ仕事をすれば多少の感銘はしてもらえるかもしれないが、それもあくまできっちりとした結果が生み出されてのことだ。常に最初に来るのは結果であり、努力はその評価の補助手段であり「芸の細かさ」をアピールするものに過ぎない。

 

おわりに 「毎日の小さな成功」からはじめよう