読書メモ20
ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング (講談社+α文庫)
- 作者: エディー・ジョーンズ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/02/22
- メディア: 文庫
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はじめに
第一章 日本人独自のやり方で勝つ
スケジュールは固定するな
121
目標さえしっかりしていれば、スケジュールは 自ずと決まってきます。またスケジュールは、当初考えていたものとは大きく変わることもあります。 ところが、スケジュールが変わることを嫌がる人が、思いのほかたくさんいます。
物事のチェックは2ヵ月ごとに
146
小さな目標はもっと期間が短く、2ヵ月ごとに考えるべきです。ラグビーですと、大きな試合がそれぐらいの間隔でめぐってきます。対戦相手のレベルや特徴などを意識することで、こちらがそれまでに準備することが明確になります。
メッセージはシンプルを心掛けよ
166
いま本当に伝えたいことを1つに絞る。それも 冗長 ではなく、できる限りシンプルにする。
潜在意識を利用する
300
人間の行動は、意識よりも潜在意識に支配されていると言っても過言ではありません。そこに働きかけることは、催眠術に似ています。
言葉をたくさん使い、口うるさく指導するより、潜在意識に働きかけたほうが、ずっと効果がある と思います。
小さい約束こそ守れ
325
些細 なことに思えるかもしれませんが、些細だからこそ大事なのです。約束は、小さなものこそ守らなければなりません。
328
言葉ではいくらでもいいことは言えますが、行いが伴わなければ、信頼は生まれません。
日本人の結束力は世界一
351
すべての選手や部下は、公平に扱わなければならない──。これはリーダーが肝に銘じるべき鉄則ではないでしょうか。
向上心のない努力は無意味
359
努力は身体的なものと精神的なものが共存して、初めて実りあるものになります。 身体的、物理的な努力だけでは、意味がありません。精神的な努力が伴って、はじめて有意義になる のです。
「普通」であろうとしすぎるな
トレーニングは、時間を区切る
399
トレーニングは、時間を区切ることが大切です。区切りがないと、緊張感を失い、トレーニングのためのトレーニングになってしまいます。これほど無意味なことはありません。
コミュニケーションは一対一で
412
部外者が何らかの活動をしようとする時、まず大切なことは、国であれ組織であれ、そこには独特な文化があることを知ることです。
414
部外者としてそこに入った時、最初にやるべきことは、自分の力で変えられるものと変えられないものを見極めることだと思います。
416
ここで注意していただきたいのは、「郷に入れば郷に従え」とは異なるということです。
420
私がまず気付いたことは、チーム全員の前で自分一人が褒められたり、逆に批判されたりすることを、選手は嫌がることでした。
423
個人的なことを伝える必要がある場合は、別の場所で、一対一で話をするようにしました。それが日本で私が学んだ、最も大切なことの一つです。
褒めることを惜しまない
465
日本のスポーツの現場を見て、とても気になったのは、指導者が選手を褒めることが、非常に少ないこと。 指導者は、まるで褒めることを惜しんでいるかのようです。そして、否定的な言葉ばかり浴びせます。ほとんど言葉の暴力のような場合も少なくありません。
「完璧」にとらわれすぎる日本人
479
指導者の仕事とは、選手や部下の長所を丁寧に探し出し、それを活かすことなのです。選手や部下を、よりよくしたいのであれば、まず、その人のことを理解することが大切です。
487
日本のコーチはしょっちゅう選手に「ミスをするな」と言います。選手も常に、それを気にしています。
第二章 どう戦略を立てるか
「繰り返し」の効果
511
人の心に訴える際、繰り返しは非常に効果があります。 それが本当か噓かは、関係ありません。何度も同じことを聞かされるうち、人は次第に本当だと信じるようになるのです。
516
手を替え品を替え、話さなければなりません。何か違うようだけど、メッセージの内容は同じということです。ここに秘訣があります。
言葉を現実にする方法
533
発するメッセージが、本当かどうかは関係ありません。同じメッセージを繰り返すと、人はそれに即した行動を取るようになり、言葉が現実になるのです。
部下を公平に扱うことの大事さ
539
ある国の文化とは、その国の人々にとって、譲れるものと譲れないものがあるということです。外国人は後者を理解しなければなりません。
目先の勝敗は気にしなくてよい
567
目標がはっきりしていれば、目先の勝敗はたいして問題になりません。チームや個々の選手も、何が欠けていたのかを課題として自覚します。それは自分の基準を作ることであり、基準は成長とともにどんどん上がっていきます。
573
成功とは、相手に勝つことにほかなりません。勝ちたいなら、相手を上回る準備をするしかないのです。
589
人間にとって、習慣ほど安定したものはありません。一旦習慣になると、忘れることはありません。欲求を感じなくても、行うようになります。
明確なビジョンを持つ
618
(読売ジャイアンツ監督)原さんは、選手によって対応を変えていました。ある選手には父親のようにやさしく接するかと思うと、ある選手にはきびしい口調でおうじていました。その臨機応変の対応が、非常に印象的でした。
欠点は、一つの条件にすぎない
657
彼らの素晴らしいところは、体格が小さいことを決してネガティブにとらえないことです。欠点は、誰にでもあります。しかし、それをネガティブにとらえると、そこで負けは確定してしまいます。要は欠点とは、一つの条件にすぎないということです。 欠点を欠点ととらえるか、ただの条件と考えるかが、勝利や成功への大きな分かれ目になるのです。
663
コントロールできないことは、考えるだけ無駄ですので、あれこれ考えても仕方がありません。放っておくのが一番です。
努力してこなかった日本人
699
努力は100パーセントのものでないと、意味がありません。 80 パーセントや 50 パーセントのものなど、そもそも努力ではないのです。
706
私はいろんな国の選手を指導してきましたが、努力が一番不足していると感じたのは、日本人です。
100パーセントの努力が大事
728
ある国の教育や社会のシステムというのは、あまりに巨大です。私一人が変えようとしても、どうなるものでもありません。
プレッシャーがなければ弱くなる
743
どの世界でも、プレッシャーがなく育ってきた人間が弱いのは、当然です。
日本人は非常に頭のいい民族
798
有効な準備をするためには、根拠が必要です。その点、データは非常に明確な根拠を与えてくれます。
しかし、データは万能ではありません。数字だけではわからないこともあるため、そこは注意を要します。
客観視すれば、進むべき方向がわかる
811
印象というものは、実にいい加減なものです。人はその時の感情によって、どのような印象でも抱きます。その向こうにある事実など、ほとんど見ていないことも少なくありません。 時間を置いたり、記録したもので振り返ったりすることで、印象から不純物を取り除くことができます。これが客観視するということです。
832
想定以上の練習をしておくと、実戦では多少楽に感じられます。つまり相手に対し、心理的に優位に立てるのです。
第三章 何が勝敗を分けるか
戦いに興奮はいらない
846
(一時的な興奮では80分はもたない)冷静かつ、知的な闘志です。このような闘志には、安定感と持続性があります。
855
ビジネスなど、たいていの勝負は長丁場です。そこで勝つためには、感情的で、興奮しやすい闘志は不要です。 本当に必要なのは、冷静で、知的な闘志です。大きな感情の波を克服したその向こうに、成功はあるのではないでしょうか。
スポーツの地位を高めるべき
861 (ラグビーに関して、シンプルな考えを持っていてそれを選手に伝えるだけ)
しかし、教え方は違います。それは国によって、文化的な背景が異なるからです。 まず私と選手たちの間には、文化の違いによる溝があります。お互いそのことを認めなければなりません。
863
そのうえで私は、自分の考え方が、選手たちにどのように受け止められるかを考えます。 国によって、受け止められ方はさまざまです。あまり抵抗のないこともあれば、相当な抵抗のあることもあります。
865
しかし、そのことは私には、大した問題ではありません。 私のするべきことは、選手たちのいいところを引き出し、それを結集して、チームを強くすることです。その点では、何も変わりません。
異国で指導する秘訣
895
チームを改善するとは、結局、新しい要素を加えることです。これはどこの国であれ、定着するまで時間がかかります。 何かを受け入れてもらうためには、信頼を築くしかありません。それは国や文化に関係なく、人間同士の基本だと思います。
国家を歌えないチームが弱い理由
902
そこで活動しようと思うなら、コーチに限らず、あらゆるビジネスパーソンは、文化や習慣にしっかりと配慮すべきです。 文化を顧みず、いきなり自分のやり方で始めても、受け入れられるわけがないのです。それは独りよがりにすぎません。
コーチはセールスマンに似ている
939
あらゆるビジネスは、互いに通じ合うものがあります。異なる分野にも興味を持ち、そこからも吸収しようという貪欲さが大切です。
944
私の戦略を、すぐに吞みこんでくれる選手もいますが、なかなか理解してくれない選手もいます。 そういう選手に、私は何とか「品物」を売ろうと、いろいろ言い方を変えたりしながら、丁寧に話します。
947
決して、上から目線ではいけません。自分の売ろうとする「品物」が、どれほど面白く魅力的かを、相手の立場になりながら伝えるのです。
953
わかっていないのに「はい!」と返事をすることは、 欺瞞 以外の何ものでもありません。それでは何の進歩も期待できません。
954
わからないことを聞き返すのは、コミュニケーションの基本です。そして互いに納得してこそ、戦略は機能するのです。
「ミスをしないこと」は決して重要ではない
985
ミス」という言葉は、人を 呪縛 するのです。 ですから、「ハプニング」「アクシデント」など、あまり重くない言葉に変えたほうがいいような気がします。 「ミス」は、それ自体決して重要ではありません。 「ミス」のあと、どのような行動を取るか、あるいは、そこから何を学ぶかが重要なのです。
チャレンジするから成功できる
1,021
文化は円熟すると穏やかになり、ハングリーさを失います。オーストラリアのスポーツ文化も、勝敗にこだわるより、市民がみんなで楽しめ、ハッピーになれるものが、好まれる傾向にあります。
状況判断が苦手な日本人
1,040
日本の選手はデシジョン・メイクが苦手です。 これは指導する側が、何が正しくて、何が正しくないかを、すぐ教えてしまうからだと思います。それでは自分で考えたり、判断したりする力が身につかないのではないでしょうか。
1,053
私は何事でも、問題は人に指摘されるより、自ら気付くほうがはるかにいいと思います。それは理解の度合いが、大きく異なるからです。
経験より熱意が大事
1,068
プレッシャーに耐えるためには、やはり経験が必要ということです。 だからといって、私は経験を最も重視するわけではありません。一番大事なのは、熱意です。
1,069
経験と熱意は、ある程度 相反 するものだと思います。熱意は、年長者より若者のほうが多く持っています。
日本代表はこれからどうなる?
1,097
審判は機械ではありません。人間であり、心があります。ファンの存在は、審判の心に影響を与えます。 極端な言い方をすれば、大勢のファンがいることは、審判を味方につけることと言えるかもしれません。 チームとファンの絆は、ここにあるのです。
1,099
日本にラグビーのファンを増やすためには、ワールドカップで勝つことが、絶対に必要です。
成功の後に、落とし穴がある
1,153
私は、リーダーとして最も必要な資質は、観察力だと思います。部下の表情、態度、服装などから、今、どのような心理状態にあるかを読まなければなりません。
1,155
読むだけではいけません。どのような対応をするかを、決めなければならないのです。それはケース・バイ・ケースです。
1,162
リーダーの条件は、感情をコントロールできることだと私は思います。
第四章 成功は準備がすべて
感情で人を評価するな
1,242
組織から感情の影響を断つために、何をすればいいか? それは能力や結果に対して、きちんと報酬を与えることではないでしょうか。
1,245
結果を出した人や結果に貢献した人が、どんな形であれ、報われることが大事です。報酬をあらかじめ用意しておき、 遺漏 なく与えること。これが組織を運営するうえで、極めて大事なのです。
1,253
公平に評価し、きちんと報酬を与えることは、本当に大事です。 不公平感は、組織をむしばみます。そのような組織が十分な力を発揮できるはずがないのです。
誰でも今よりいい自分になりたい
1,265
結局、人というのは、今よりいい自分になりたいのです。あるいは、今よりいいことに参加したいのです。
勇気とは、慣れ親しんだ自分を捨てること
1,294
「自分をよりよくしたい」という気持ちを起こし、それを実行しようとすれば、次に必要なものは、勇気です。
1,300
勇気とは、慣れ親しんだ自分を捨てること なのです。
1,306
考えることと、それを行動に移すことには、大きな隔たりがあります。二つの間にどっしりと横たわっているのが、勇気ではないでしょうか。
冒険しない人は後退するだけ
1,331
人間にとって、冒険することは絶対に必要です。冒険しないと、人は後退するだけだと思います。
自分を追い込むための訓練
1,346
何事も、本番で大きな力を発揮しようと思えば、普段から自分を追い込む訓練をすることが必要 ではないでしょうか。
1,352
コントロールできることは、徹底して準備し、確実にしましょう。一方、コントロールできないことは、意識から捨て去ってしまえばいいのです。
言い訳が成功を阻んでいる
1,378
何かをよくしようと思えば、まず自分を客観的に見つめることが大事です。なぜなら、他人に指摘されるより、ずっと強い意志で取り組めるからです
1,382
他人の欠点が見え、それを直してやりたいと思った時、人はどうしても高みから指摘し、命令口調で直すように言ってしまうものではないでしょうか。しかし、それではあまり効果がない と、私は思います。
1,385
その人に、自分を客観的に見つめる機会を与えるべきです。多くの場合、人は他人に言われなくても、自分の欠点をわかっています。それを自ら、口に出させるようにすればいいのです。
参加者に特別な意識を持たせる
1,393
もっとモチベーションを高める方法があります。それは自分たちの参加しているプロジェクトが、何か特別な意味のあるもの、重要な意義のあるものだと、感じさせることです。
心配ほど無意味なものはない
1,442
コントロールできることだけを考える。コントロールできないことは、放っておく。
まず少人数で意見交換を
1,524
学ぶとは、新しいことや自分が知らないことを、先入観なく虚心に見つめ、吸収することです。
決断するから進歩が生まれる
1,589
何かを決断するのは、非常に勇気がいります。はじめのうちは、間違った決断をしてしまうでしょう。しかし、やがて責任感とともに、決断に正確さが出てきます。これこそが、進歩なのです。
1,593(上司が部下に勇気を与えることが大切、決断は批判せず、努力に口出しすべき)
決断と努力には、違いがあります。その人がどれだけ努力するかということは、コントロールできる要素だからです。
明日のために準備せよ
1,603
皆さんがリーダーや上司なら、部下のことを、常に観察しなければなりません。 顔色、動き、他人との関係……これらに着目しながら、彼が本気で仕事をする気になっているのか、ただオフィスにいる時間を埋めているだけなのか、見極めることが大切です。