読書メモ 8
まえがき
第1章 貨幣経済社会の終焉
第2章 パラダイムシフトの時代
人間のやさしい情知
人間には「豊富なものをたくさん使うことを格好よいと感じる美意識と、不足なものを節約するのは正しいことだと信じる倫理観」が存在する。(959)
第3章 評価経済社会とは何か?
「高度情報化社会」の正体
「高度情報化社会とは、情報の数が増えることではない。一つの情報に対する"解釈が無限に流通する”社会である」(1638)
「評価経済社会」
「評価」と「影響」をお互い交換しあう社会。これを、私は「評価経済社会」と名付けました。(1754)
貨幣から評価へのバトンタッチ
近代が貨幣経済行為が自由になったしゃかいであるのに対して、現在、新しく変化しつつある私たちの社会とは「影響行為・洗脳行為が自由になり、個人に開放されつつある社会」なのだと。(1794)
市民に開放された「影響」
ネットとは、この新しい技術革新です、これによって起きる価値観変化は「科学主義」という、いわば「物質文明」「貨幣経済・産業主義」に引導を渡します。(1835)
新しい社会の競争、それは「どれだけ有名になれるか」「どれだけ高評価を集められるのか」です。(1841)
「技術は、権力者の特権を市民に開放する」(1847)
「電子ネットの発達によって、歴史上初めてすべての人々が被洗脳者から『双方向の影響を受ける/与える人』になる。それによって評価経済社会が始まる。(1849)
人々の不安や不満をつかみ、最も効率よくそれを解消する方法を提案することによって、多くの人に影響を与え、尊敬と称賛を得られるのが評価経済競争社会。(1852)
得られる利益は貨幣的利潤ではなく、評価利潤、つまりイメージである。
これが「評価経済社会」の定義です。(1853)
評価経済社会の勝者
近代を「誰もが豊かになるために競争する社会」と表現するなら、これからは「誰もが他人に影響を与えることを競争する社会」といえるでしょう。(1910)
評価経済社会では今以上にその人のイメージ・評価に注目が集まります。(1934)
その対策が「自分に一つのイメージをあまり固着させない」こと、言い方を変えれば「場に合わせて自分を変える」ことになるわけです。つまり、そのつど細かく場とキャラを変えることで、リスク分散を図るわけです。(1936)
未来企業を左右する「評価資本」
これからの企業にとって、生き残るために最も大切なことは「影響力」です。(2042)
私はこれを、従来の貨幣経済の資本に対して"評価資本”と名付けてみました。(2044)
評価経済社会での消費行動
これからの消費行動は、どんどんサポーター的要素が強くなっていくでしょう。つまり「モノを買う」「お金を払う」という行為が、自分の欲しいものを手に入れるためや、自分の望むサービスを受けるためではなく、自分が賛同する企業やグループ・個人を応援するためになされることが多くなる、ということです。(2131)
望まれる企業像
これからの企業は、「なぜ」これをしなければならないのか、という価値観・世界観を明確に示す必要があります。同時にその価値観・世界観に賛同する人は、こういうふうに力を貸してくれ、と具体的に提示する必要もあります。そして、力を貸してもらえたら今度は貸してくれた力にうよって何ができたのか、きちんと報告しなければなりません。(2179)
価値観の提示、具体的要求、成果の報告。この三つがそろって初めて、評価資本は増大します。消費者がサポーターになる、とはこのようなことなのです。(2194)
第4章 幸福の新しいかたち
評価経済社会のキーワード
評価経済社会での「個人のふるまい」には特徴が三つあります。
- 他人を、その価値観で判断するということ。
- 価値観を共有する者同士がグループを形成するということ。
- 個人の中で複数の価値観をコーディネートするということ。(2335)
価値観で判断される個人
評価経済社会において、価値観とは自分独自のものを持ったりするのではなく、消費者として選ぶからだ、と考えているからです。(2380)
貨幣経済社会においては、何を買うかが最大の関心事でした。これと同様、評価経済社会では、豊富にある価値観や世界観、つまりイメージから何を選ぶかというのが最大関心事になります。そして人々はお互い、どんなイメージを選んだかで相手を値踏みするわけですね。(2386)
情報化社会で求められる才能
これから情報されるのは情報の「整理屋」です。情報とそれについての膨大な解釈が氾濫する中、それを手際よくまとめ「情報+解釈」をパッケージで提供できる人間が求められ、評価されることになるでしょう。(2556)
近代的自我から「キャラ」へ
これからの評価経済社会で幸せに生きていくためには、軽やかに色を変える能力が一番大切になってきます。(2588)
全体として自分の感性に合うように、その価値観の種類や深さや時間をコーディネートすること、いくつもの人格を持ち、自分なりに使い分けることが大切なわけです。(2594)
評価経済社会で求められる「商品」
一つ目は用途が限定されていて、分かりやすいことです。(2668)
また、分かりやすいためには極論が必要です。(2672)
二つ目はキャラクター、つまりその価値観を誰が提唱しているかです。(2675)
評価経済社会を生きる人たち
自分の意見、自分の価値観を全部自分でつくり出すことは、情報があふれたこの評価経済社会では不可能です。(2688)
「家族」の解体
自由で束縛されないということは、常に不安定で、意識していないと失ってしまうということです。私たちはいくつもの人間関係を維持し、自分にとって心地よい距離に保つために、いつも気を使い忙しくしていることになるでしょう。(2772)
第5章 新世界への勇気
「自分」の第一段階は、自分自身の脳だろう。
でも、それ以前のゼロ段階に、自分のスマートノートを置く。(2949)
その外、第3段階はリアルの世界と、「サロン」だろう。
さらに次の第4段階が、ネット上の小規模団体だ。(2951)
電子版おまけ 「日本は“評価経済”の高度成長期に入った」
評価が通貨のように流れる社会。評価経済と評価社会とは違う(3000)